隠れ家のような存在である屋根裏部屋ですが、暑くて寝室には向いていないと聞いた人もいるのではないでしょうか。子供の寝室や収納スペースとして、屋根裏部屋を設計すべきか悩んでいる人も多いです。
そこで本記事では、屋根裏部屋を寝室の代わりとして使用できるかどうか解説していきます。寝室にする際の注意点や、ポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
屋根裏部屋が欲しい方必見?間取りアイデアや注意点まとめを解説
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屋根裏部屋は暑い?暑くない?
屋根裏部屋は暑いです。家の中でも一番太陽に近い位置にあり、常に直射日光を浴びている場所なので、気温が高くなります。外気温が30度前後の場合、屋根裏部屋は50度近くまで高くなることもあるので、暑さ対策が必須です。
晴れていない日であっても、屋根裏部屋が一番暑くなります。空気は性質的に暑い空気が上に登っていくため、最終的に屋根裏部屋にたどり着いてしまいます。そのため、熱気がたまりやすく、家の中では一番暑くなってしまうのです。
住まいによっては、屋根裏部屋に断熱材などがあらかじめ設置されていることもありますが、それだけでは、十分とは言えないので、自分でさらに強化・対策していく必要があります。
これらの条件から屋根裏部屋を寝室として使用するためには、暑さ対策をしなければいけません。暑さ対策なしでは、夏場に熱中症になる可能性も十分にあるので危険です。どのように暑さ対策すればいいか見ていきましょう。
屋根裏部屋の暑さ対策方法
屋根裏部屋を寝室として使うためには、暑さ対策が必須であるため、どのような暑さ対策があるのか見ていきましょう。
換気設備を整える
暑い空気を外に逃がすために換気扇を取り付ける方法があります。一般的な換気扇もあれば、換気排熱ファンを取り付ける方法もあるためそれぞれの特徴を見ていきましょう。
換気扇
換気扇のタイプによっては、穴を空ける工事が必要になる可能性もありますが、換気扇を屋根裏点検口に取り付ける方法であればその必要はありません。24時間換気をしていれば、暑い空気がこもらないので、快適に過ごすことができます。
ずっとつけっぱなしにしたくない方は、サーモスタット(温度の自動調節装置)をつけることで、動作を制御することができます。
換気排熱ファン
換気排熱ファンは天井に取り付けることによって、暑い空気を外に出すシステムです。専門的な商品になるので、少し値段はしますが、空気の流れが各段によくなるため、快適に過ごすことができます。
天井に穴を空ける必要があるので、DIYが不慣れな方や不安な方は、業者に依頼しましょう。どちらの方法をするにしても、電源(コンセント)が必要になるので、確保できるようにしておきましょう。
どうしても電源が用意できない人は、小さな窓を付けて換気する方法もあります。多少は効果がありますが、換気扇などに比べると空気の循環が悪いので、効果はあまり期待できません。そのため、寝室として利用したい場合は換気扇(換気排熱ファン)がおすすめです。
屋根の断熱を強化する
屋根裏部屋が暑くなる原因は、太陽の光によって屋根が熱せられるからです。そのため、屋根の断熱を強化することで、軽減することができます。屋根がしっかりと断熱できていれば、太陽の熱が屋根裏部屋までたどり着かないため、屋根裏部屋が暑くなりません。
屋根を断熱する方法は、塗装です。断熱塗料や遮熱塗料をすることで、屋根に薄い膜ができ、熱伝導を抑えたり、太陽光を反射させたりする効果があります。
断熱塗装と遮熱塗装は名前や効果が似ているので、一見同じように感じますが、少しだけ違いがあります。断熱塗装は、熱の移動を防ぐ効果があるので、夏は室内の涼しい空気を外に逃がさず、冬は暖かい空気を外に逃がさない役割があるので、快適に過ごせるのが特徴です。
一方の遮熱塗料は、熱の発生を遮断する効果があるので、夏は暑さをしのげますが、冬の寒さを防ぐことはできません。そのため、一年を通して快適に過ごしたい人は、断熱塗装を選びましょう。
遮熱シートを貼る
アルミ遮熱シートを貼ることで、熱を跳ね返すことができます。断熱材は、ある一定の熱を吸収することで、断熱する効果がありますが、吸収の限界が来ると効果を発揮しません。一方の遮熱シートであれば、熱を反射するので、永続的に効果を発揮できます。
このシートを屋根や天井裏に敷き詰めることによって、中の涼しい空気が外に逃げず、逆に外の暑い空気を中に入れないため、しっかり断熱することができます。
またアルミの遮熱シートは、カッターナイフで簡単に切ることができるので、好きな部位に合わせて使用できるため便利です。遮熱シートをしつつ、換気扇をつけるなど、他の対策と併合すれば、さらに効果的になるので、他の対策もあわせてすることをおすすめします。
断熱材を屋根裏に貼る
屋根裏の天井部分にすでに、断熱材が貼られていることが多いですが、その上からさらに断熱材を重ねることができます。
すきまなく断熱材を重ねることで、さらに断熱効果が増すことが可能です。断熱材がどれくらい重ねられるのか、一度確認してから断熱材を用意しましょう。もし断熱材が貼られていなければ、しっかり貼っておきましょう。
エアコンを設置する
部屋を涼しくするためには、エアコンを使えば夏でも冬でも快適に過ごすことができます。ただし屋根裏部屋にエアコンが設置できるかどうかは、環境によって異なるので、業者に確認しておくことが大切です。
場合によっては、エアコン用のコンセントが設置できないこともあるので、設置できない場合は他の方法を試しましょう。
屋根裏部屋を寝室にするときの注意点
屋根裏部屋を寝室にする際に、いくつか注意点があるので見ていきましょう。
断熱強化による結露問題
断熱材や、遮熱シートなどを使用して、屋根裏部屋の断熱強化をするときは、結露に注意してください。本来であれば、断熱工事をする際に、通気層を設けることで結露を防ぎます。
しかし、不具合によって、通気が十分に行われていなければ、屋根裏などに湿気がたまり結露が発生してしまいます。通気が不十分の状態で、さらに断熱を強化してしまうと、キャパオーバーしてしまい、通気が十分に機能しなくなってしまうので危険です。
長年の結露による劣化が続くと、屋根が腐り雨漏れやカビ、ダニが発生する恐れもあるので結露対策も怠らないようにしましょう。結露は換気をすることで、湿度を抑えることができるので、こまめな換気も覚えておきましょう。
転落するおそれがある
屋根裏部屋に出入りするときは、階段やはしごを使って移動することがほとんどです。日中の明るい時間帯であれば、見えやすいので問題ないですが、夜になれば暗くて見えにくくなります。
見えにくい状態で階段を上り下りするのは危険です。踏み外せば転落の恐れがあるので、転落しないための対策を行いましょう。例えば手すりをつけたり、滑り止めをつけたりなど、寝ぼけた状態でも安全に上り下りできる状態にしておくことが大切です。
または足元にLEDライトを設置して見えやすくするなど、小さいお子さんでもケガをしないように対策してください。
採光に注意する
屋根裏部屋は直射日光が入りやすいため、まぶしく感じたり、日光によって気温が上がりすぎたりすることがあります。日中快適に過ごすためには、窓にブラインドやカーテンをつけておくことが望ましいです。
屋根裏部屋を寝室にする際のポイント
屋根裏部屋を寝室にするときには、細かな調整をすることでより快適に、楽しく過ごすことができます。どんなポイントを意識すればいいか見ていきましょう。
インテリアを統一する
屋根裏部屋であっても通常の部屋と同じように、インテリアを統一することで見栄えのいい部屋に仕上がります。どのようなイメージにするか考えながら、カラー、素材、などをコーディネートしましょう。
ほかの部屋と色合いやトーンを変えることで、秘密基地のような特別な存在感を演出することも可能です。また天井は明るい色を選ぶことをおすすめします。屋根裏部屋は、高さがないので濃い配色を選んでしまうと迫ってくるような印象を与えてしまいます。
床は濃い色でも問題ありませんが、天井の色選びには気をつけましょう。
屋根の形状をうまく活用する
屋根裏部屋なので、屋根の勾配に合わせて高さが異なります。低い場所にベッドを置いてしまうと、圧迫感を感じながら寝ることになるので、レイアウトが重要です。
例えば低い位置には、収納スペースとしてボックスを置き、高めの位置にベッドやタンスなどを置くなど、高さに合わせて何を配置するか考えておきましょう。
窓の大きさや配置に注意する
屋根裏部屋と聞くと、暗いイメージがあるかもしれませんが、開放的な空間を演出するには大きな窓をつけることがポイントです。壁側ではなく、屋根の部分を窓にすることで、開放感が高くなり、外の景色を楽しんだり、夜は星を眺めたりすることができます。
また配置も重要です。直射日光の入り具合によって、まぶしすぎたり、暗すぎたり、暑すぎたりと変化します。寝ているときに朝日がまぶしすぎると寝ずらくなってしまうので、太陽の位置を考えて、窓を配置しましょう。
デザインのなど事例を見ておく
他の人が屋根裏部屋を寝室にしている事例を見ておき、自分の頭の中でイメージしておくことが大切です。実際に活用してみると、コンセント・窓・ベッドの位置、採光、室温、など思っていたものと違うこともあります。
家具の配置は、後からでも可能ですが、窓やコンセントなど工事が必要になるので綿密に計画しておかなければいけません。そのため、事前にデザインなどの事例を見て、自分の理想通りに近づけるようにしましょう。
また口コミなども参考にして、どこに気を付けるか見ておくことも大切です。
屋根裏部屋のメリット・デメリット
屋根裏部屋を寝室にするときには、そもそも屋根裏部屋にはどのようなメリット・デメリットがあるのか、把握しておくことが大切です。メリット・デメリットを見ていきましょう。
屋根裏部屋のメリット
屋根裏部屋のメリットは以下の通りです。
固定資産税の対象外となる
屋根裏部屋は①天井の高さが1.4m以下、②屋根裏部屋の床面積が、1つ下の階の床面積の二分の一未満、この二つの条件を満たせば、固定資産税の対象外となります。
各自治体の条例によっては、「固定の階段をつけてはいけない」といったような決まり事がある可能性もあるので、事前に確認しておくといいでしょう。
空いたスペースを有効に使える
屋根裏部屋はおまけのスペースのようなものなので、この空いたスペースを様々な用途に活用することができます。例えば、寝室、書庫、物置、遊び場所、勉強部屋、趣味部屋など、アレンジすれば何にでもなれる空間です。
とくに狭小地のような限られた土地面積で建設する場合は、少しでも空間を有効活用することで、空間を広く見せることができます。
自分だけの空間を得られる
大きすぎず狭すぎず、一人で何かをする、趣味を楽しむにはちょうどいい空間です。誰にも邪魔されることのない、静かでまったりとした空間を得ることができます。自分だけのオリジナル空間を味わうには、ぴったりのサイズです。
また窓から見える景色は空ばかりで、周りの建物や人の目線が気にならないので、プライバシーを確保することができます。
収納スペースとして活用できる
年に数回しか使わないようなもの(鯉のぼりやひな人形など)をしまっておくのにはぴったりです。階段の上り下りが不便と感じる人であっても、頻繁に出し入れすることがないので、収納スペースとして有効活用することができます。
子供のあこがれの空間
屋根裏部屋と聞くと「秘密基地」や「隠れ部屋」など、子供からすれば憧れの空間が目の前にあることになります。子供であれば、身長も高くないので、狭く感じることもなく広々と使えるので、子供にはうれしい空間です。
屋根裏部屋のデメリット
屋根裏部屋のデメリットは以下の通りです。
制限が厳しい場合がある
住んでいる自治体のルールによって異なるため、絶対ではありませんが、「エアコンを設置してはいけない」、「畳やじゅうたんをしてはいけない」、「テレビやインターネット回線を設置してはいけない」など制限が厳しいこともあります。
エアコンやテレビなどが置けなくなってしまうと、活用できる幅が狭くなり物置小屋として活用するしかありません。
暑さ、寒さ対策が必要
屋根裏部屋が暑くなることが説明してきたので、わかると思いますが、外気の影響を受けやすいので、断熱材などを利用して、暑さと寒さの対策をしておきましょう。
荷物を入れにくい
屋根裏部屋は、大人にとっては狭い空間です。高さがないので、作業するのに手間がかかってしまいます。また、出入りするためには階段を使用しないといけないため、大型荷物を入れるときには不便です。
大人には使いにくい
高さ制限があるので、どうしても大人には使いにくい空間になっています。また、自分が老いて使用する場合は、階段の上り下りなどが困難になってしまいます。
はしごの上り下りが危険
屋根裏部屋に上がるためには、必ずはしごなどが必要になります。はしごは不安定なので、誤って踏み外してしまうと、転落の恐れがあり危険です。特に夜間は見えなくなるので、対策しましょう。
使わなくなる可能性がある
費用をかけて屋根裏部屋を作ってみたものの、階段の上り下りが不便だったり、快適空間でなかったりすれば、使わなくなってしまいます。物置小屋として使用していて不要なものばかりを置いて、「開かずの扉」状態になる人も多いです。
まとめ
屋根裏部屋を寝室にするためには、暑さ対策、窓の位置、家具の位置、階段、などさまざまなことに注意しておかなければいけません。とくに暑さ・寒さはしっかり対策しておかなければ、屋根裏部屋で過ごすことができません。
屋根裏部屋を寝室にするときの注意点をまとめたので、おさらいしておきましょう。
屋根裏部屋を寝室にするときの8つの注意点
- 断熱、エアコンの設置など暑さ対策をする
- 結露の恐れがあるので、換気を怠らない
- 階段の上り下りはケガのないように対策する
- 窓の位置をカーテンなどで、採光を調整する
- 屋根の勾配を活かしたレイアウトにする
- 自治体によって決められているルールを確認する
- デザインの事例を見てイメージを高めておく
- 固定資産税の対象にならない設計にする
この8つの注意点をしっかり覚えておけば、屋根裏部屋も寝室として活用することができるので、覚えておきましょう。対策さえすれば、屋根裏部屋を寝室にすることは可能であるため、自分だけのオリジナルの寝室を作ってください。