トイレは、間取りを決めるとき後回しにされることが多い設備です。リビングや浴室など、主要箇所がほとんど決まったあとに決めるケースも少なくありません。
ただ当てはめる方法で決めると、住み始めてからトイレの向きや扉で後悔する人もいるので注意をしましょう。あまり気にしない人もいますが、横から入るトイレと縦から入るトイレでは、使い勝手が違います。
扉も引き戸と開き戸でだいぶ変わってくるので、間取りを決めるときは住み始めてからの想像が必要です。一日に数回利用をするトイレだからこそ当てはめる方法だけで決めるのではなく、何かしらのこだわりを含めましょう。
そこで今回は「横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当?」について解説をします。利用しづらいトイレに後悔をしないよう、トイレの位置を決めるときの参考にしてください。
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トイレのタイプの組み合わせを確認
トイレのタイプと言ってもメーカーが販売するトイレの種類ではありません。ここで言うトイレの組み合わせは向きと扉です。普段考えたことがないかもしれませんが、トイレの入り口は、向きと扉によって使い勝手が変わります。
トイレの向き
- 横:扉を開けたらトイレの側面が見える(入口に対してトイレの間取りが横長)
- 縦;扉を開けたらトイレの正面が見える(入口に対してトイレの間取りが縦長)
トイレの扉
- 引き戸:溝をつくり、戸をスライドさせて開閉する扉
- 開き戸:戸が前後に開閉をする扉
昔は「向き:縦」「扉:開き戸」のタイプが主流でした。団地などの集合住宅では、ほとんどのトイレが縦から入る開き戸です。いつの間にか横から入るタイプのトイレが採用されるようになり、使い勝手の良い引き戸が選ばれる機会が増えました。
トイレの向きと言っていますが、要は扉を付ける位置です。トイレの広さは邸宅でない限り、長方形を採用します。短い辺に扉が設置されれば縦から入り、長い辺に扉が設置されれば横から入るかたちです。トイレの場所を後で決めると、扉の位置が選べません。
また扉のタイプは、横と縦の関係なしに選べます。縦を選ぶと開き戸のイメージが強いですが、戸の移動先があれば引き戸の採用も可能です。横から入るタイプのトイレは引き戸のイメージが強いかもしれませんが、開き戸の採用もできます。
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さらに、引き戸と開き戸の中にも異なるタイプがあるので注意をしましょう。開き戸には、「内開き」と「外開き」があり、間取りによって決めるのが一般的です。
トイレを後回しにすると、向きや扉のタイプが希望通りになるかがわかりません。偶然希望通りになれば良いですが、すでに決まったリビングや浴室の場所が自由を奪います。使い勝手の良いトイレを目指すのならば、優先順位をある程度上にするべきです。
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横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当?
ここからは本題です。横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当?を考えていきます。
トイレに関するいろいろな観点から、トイレの向きと扉のタイプごとに考えてみましょう。検証をすることで、横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当かを確認します。
便器の見え方が良いのは横から入るタイプ
口コミを見ると、扉を開いたときの便器の見え方にこだわる人もいました。便器の見え方なので、扉はあまり関係しません。横から入るか縦から入るかで便器の見え方が変わります。便器の見え方に関する口コミを集めてみました。
便器と正面に向かいあうトイレに昔から違和感があった。入ったときに横から見える便器の方が奥ゆかしい。
横から入るタイプの方がドアを全開にしても便器が見えない。ドアを開けた瞬間「どうも!便器です!」といった主張が見えるのは好きじゃない。ちょっと隠せるぐらいの横がちょうどいい。
万が一を想像してみてください。家族が利用しているときにドアを開けたとしましょう。正面で目が合うより横の方が被害は軽減されると思いませんか。トイレは横以外ありえないと家族に主張し満場一致を得ました!
上記の口コミを見たとき、人によっては「くだらない」と思われるかもしれません。しかし、便器の見える位置を真剣に考える人もいます。面白いのは真剣に考えている人がいるのを知るとことで、「私も気になるようになった」と語る人がいる事実です。
横から入るタイプと縦から入るタイプでは、便器の見え方が違います。便器の見え方については圧倒的に横から入るタイプの方が人気です。今回の検証では扉の種類は問われません。横から入るタイプの方が見え方に関しては人気が高いです。
使い始めるまでの行動がスムーズなのは横から入るタイプと引き戸
トイレに入ったあと、使い始めるまので行動がスムーズなのは横から入るタイプです。行動がスムーズだと使い勝手は上がります。正直「小さな違いでしかないよ」と思われる人も多い検証です。
しかし、設置したトイレを何度利用するでしょうか。1日3回利用したと考えてみましょう。1年間で1,000回以上利用をします。利用頻度の高さは当然ですが浴室以上です。行動など、細かい部分も検証するべきではないでしょうか。
まずは横から入るタイプの行動です。トイレに入ったとき、便器は左右のどちらかに存在します。便座に座るためには、体に90度の回転が必要です。90度の回転により、便器に座れます。
縦から入るタイプはどうでしょうか。トイレに入ったとき、便器は正面にあります。座るためには体に180度の回転が必要です。少しの違いですが、倍の回転を必要とします。
体育を思い出しましょう。「回れ右」と「右向け右」の違いです。回れ右の動作には気をつけの姿勢から「1・2・3」の動作が必要でした。右向け右は「1・2」の動作で完了します。行動範囲が大きくなるのは180度の回転です。
引き戸と開き戸にも行動のスムーズさに違いがでます。引き戸がスムーズなのは一目瞭然です。開き戸は、人が立つ位置によっては邪魔です。引き戸を開くときに邪魔になるケースはありません。
病室にトイレがある場合は引き戸が採用されることがほとんどです。車いすを利用したことを想像してみましょう。開き戸の開閉は面倒です。一定の場所にとどまっての開閉が難しく、引き戸よりも動作が増えます。使い勝手が良いのは明らかに引き戸です。
以上のことから、行動がスムーズなのは横から入るタイプの引き戸と言えます。細かいかもしれませんが、これから先数万回以上利用するトイレだと考えてみましょう。こだわりが必要な考え方になってくるはずです。
柔軟に適用できるのは引き戸
引き戸は開き戸よりも人気の高い扉です。引き戸と開き戸のメリットデメリットを確認しましょう。
引き戸のメリット
- 開閉のとき周囲が邪魔にならない
- 開き具合の調整がしやすい
- 車いすや松葉杖を利用しているときでも開閉しやすい
引き戸のデメリット
- 壁の中に戸を引き込むスペースがないと設置できない
- 戸袋(開けたときに扉が収納される袋状に作られた壁)の掃除が大変
- 戸袋の壁にはコンセントやスイッチが設置できない
- 開き戸よりも設置価格が高額
開き戸のメリット
- 引き戸よりも気密性が高い
- 扉のデザインが引き戸よりも豊富
- 引き戸よりも安く設置できる
開き戸のデメリット
- 別の人が歩行中に開閉されると危険
- 戸が大きく動くので開閉にスペースが必要
- 「内開き」は採用できない
魅力を感じるのは引き戸のメリットです。長い人生、ときには足にケガをすることもあります。足にケガをしたときは引き戸のメリットが魅力です。
トイレのドアとして気になるのは開き戸のデメリット、開閉時の危険はどうしようもありません。同居する人数が増えると、開けたときの扉にぶつかる事故が発生しやすいです。我慢の限界を迎え、トイレの使用に焦ったとき衝突事故が起きます。
なら、事故を防ぐため内開きを採用すればと思われるかもしれませんが難しいです。古い団地を見ると内開きを採用しているトイレもありますが、敷物やスリッパが巻き込まれるなどの不評が相次ぎました。最近のトイレで内開きを採用している扉はありません。
縦から入るタイプの扉でも戸袋が設置できれば開き戸が採用できます。周囲に開き戸の開閉スペースが確保できなければ、引き戸を採用するしか方法はありません。
横から入るタイプ、縦から入るタイプのどちらにせよ、扉には引き戸を採用する方が使い勝手が良くなります。
子どもがいる家庭には横から入るタイプの引き戸の使い勝手がおすすめ
小さい子どもがいる家庭には、横から入るタイプのトイレがおすすめです。しかも開き戸よりも引き戸の方が、使い勝手は上がります。子どものトイレトレーニングを見守るには横から入る引き戸のタイプがおすすめです。
縦から入るタイプは、子どものトイレトレーニング中の居場所に困ります。手助けするにも、スペースがありません。横から入るタイプを想像してみましょう。お尻を拭く練習など、便器に座る子どもに対し、斜め前に位置を取る方がやりやすいのは一目瞭然です。
しかも引き戸はドアの開き幅の調整がしやすく、ある程度の距離感が保てます。開き戸は用を足している子どもと目が合い、スムーズなトレーニングになりません。段階を踏んだトレーニングに必要な距離感を保つことで、早めの成長を促せます。
介護が必要な人と住む時も同様です。便器から立つとき、正面が壁だと安心します。開き戸を想像してください。開き戸が完全に閉まっていない状況で便器から立とうとして前によろけたら、ドアが開きそのまま前に倒れます。介護が必要な人には、縦から入るタイプのトイレは危険です。
介助やトレーニングする人の位置取りを想像しましょう。横から入る引き戸タイプの使い勝手が圧倒的です。使い勝手の良さには、いろいろな環境の変化に対応できる柔軟性も含まれます。
収納の設置に選択肢があるのは横から入るタイプのトイレ
トイレに収納場所は欠かせません。収納場所の選択肢が増えるのは横から入るタイプのトイレです。邸宅仕様は一般的なトイレよりも広く、簡易的な洗面台があるようならば、収納の不安はありません。
しかし一般的な広さのトイレに対する収納場所は限られてきます。
- 便器の奥
- 左右のどちらか
- 座った目の前
トイレの収納場所は、上記のいずれかに設置します。問題は座った目の前に収納を採用したい場合です。縦から入るタイプのトイレの目の前は扉なので、収納の設置ができません。
一方、横から入るタイプのトイレは、扉ではない方の壁にスペースがあります。また、扉を設置しても横幅は長いので収納の設置ができないわけではありません。
一般的な広さのトイレで収納が多く必要な場合、便器の前後に収納を設置するのが一般的です。収納が2つあればトイレ用品が十分にしまえます。左右に収納がほしい場合は、ニッチの採用がおすすめです。しかし壁をくぼませるので、必ずしもニッチ収納が採用できるとは限りません。
収納のことを考えると、横から入るタイプのトイレがおすすめです。後方の上部に大きな棚と、前方に数個のトイレペーパーが収納できるスペースを設置すれば、トイレの使い勝手が向上します。
ニオイや音の問題は開き戸がおすすめ
トイレで気になるのはニオイや音です。ニオイや音が気になる場合は、気密性が高くなる開き戸を採用しましょう。開き戸は、引き戸より隙間が発生しにくいです。気密性の高さが、ニオイや音の問題を和らげてくれます。
ココがポイント
- 引き戸は閉めた状態でも壁と戸の間に隙間ができやすい
- 引き戸は上下にレールがあるので隙間ができやすい
- 開き戸はドアの下にある隙間が気になるぐらい
開き戸は、ドアの開閉がスムーズになるよう下部に隙間を設けています。トイレの中が密封されると扉の開閉が大変です。少しだけ隙間を開けることで気密性を下げています。
引き戸のドアに隙間は不要です。自然にできる隙間が気密性を下げます。逆に気密性を上げるための道具が販売されているぐらいです。
ニオイや音に関しては、気密性の高い開き戸が役立ちます。トイレの扉に開き戸を採用するメリットです。
横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当
「横から入るタイプのトイレは引き戸が使い勝手が良いのは本当?」について解説をしました。検証をした結果、横から入るタイプに引き戸を組み合わせたトイレの使い勝手が一番魅力的です。
縦から入るタイプのトイレは、横から入るタイプのトイレにかないません。開き戸のメリットはニオイと音です。しかし、ニオイと音がそこまで気になるのでしょうか。窓や換気を付けるだけでだいぶ改善できます。
総合的に見て横から入るタイプのトイレは、引き戸が使い勝手が良いです。トイレで悩んでいる人は、横から入るタイプと引き戸の組み合わせを検討しましょう。