家を建てるときには、住まいのさまざまな場所の名称を知っておくことは大切です。
上がり框という言葉を聞いたことのある人は多いでしょう。
しかし、正確に上がり框の意味を説明するとなると困る人がいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では上がり框の意味について解説します。
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上がり框とは
上がり框とは玄関の上がり口の部分にある横木のことです。
土間と廊下やホールなど床の部分との段差に水平に渡してあります。
また、式台の部分のことを上がり框ということもあります。
上がり框は日本家屋の伝統的な場所であり、日本の家では洋風の建築であっても上がり框が設けられているのが普通です。
上り框の目的とは
廊下や玄関ホールにある床材は切り落とされた部分に切断面があります。
これを隠してささくれを防ぐために設置されているのが上がり框です。
化粧材であり、床材と同じ材料にこだわる必要はありません。
そのため、異なる材種を採用されるケースもあります。
色が異なっていたとしても特に問題はなく、デザインとしてあえて異なる色を取り入れているケースもあるのです。
家の玄関を開けるとまず目に入る部分が上がり框です。
住まいの顔といえる部分であり、玄関をキレイな空間として演出するという役割があります。
また、家に入るときには靴を脱ぐことになり、その際にまず上がり框に肌が触れることになります。
そういう意味でも重要な部分といえるでしょう。
上がり框に求められる要素とは
家の中でもかなり人通りの多い場所が上がり框です。
また、靴を脱ぐときに砂や埃などが生じる場所でもあります。
そのため、外部に暴露されている部分ほどではないにしても耐久性が求められる部分といえるのです。
また、段差を乗り越える必要があり、その際には上がり框に足を踏み込むことになります。
その際には強い力がかかってしまうため、他の床材と比べても強さが求められる傾向があります。
木材を用いるときには表面の木目が美しく見えて、なおかつ強度のあるものがふさわしいと考えられています。
そのため、堅木を用いることが多く、木材以外では石材やプラスチック、人造大理石なども上がり框に使われることがあるのです。
上がり框の寸法について
もともと日本家屋は建築基準法において、床の高さは直下の地面から45センチ以上とすることという決まりがありました。
そのため、玄関の土間から廊下までの高さというのは45センチ以上あったのです。
しかし、日本人にとって土間から床まで45センチ以上あるのは高すぎるため、上がり框を経て廊下や玄関ホールに至るというのが普通になりました。
ただし、建築基準法において、居室の床下に防湿を施しているときには、45センチという制約は解除されます。
基礎にベタ基礎を採用している場合、これが防湿効果を兼ねるケースがあるため高さの制約をなくすことができますね。
上がり框の高さについては、かつてはそこに座ってコミュニケーションを取るというケースがありました。
その場合はある程度の高さがあったほうが使いやすいでしょう。
とはいえ、ベンチなどを置けばコミュニケーションスペースをつくることができます。
バリアフリーの観点からみると高すぎるのは問題がありますし、低すぎると砂や埃が室内に入りやすくなるため高すぎず、低すぎずのちょうどいい高さにしたいところですね。
長さについては玄関の幅に比例するため、多くの人が出入りする場所ほど上がり框の幅も長くなります。
ただし、下駄箱などの奥行きがある分だけ上がり框が短くなるというケースもあります。
上がり框のバリエーションについて
上がり框にはさまざまなバリエーションがあります。
たとえば形について、段差の縁が直線上になっているもの、曲線や斜めになっているもの、さらにコの字型やL字型になっているものまであります。
材質にもさまざまなバリエーションがあり、木材や石材、タイルなどが使われているのです。
その際には見栄えだけではなく、機能性や使いやすさなどにもこだわりましょう。
上がり框で座りながら靴を履くというケースもあり、その際に足が上がり框に触れるため、肌に触れたときの感触も意外と重要です。
木材であれば温かみを感じることができます。
石材やタイルにすると肌に触れたときに冷たいと感じることがあるため注意しましょう。
上がり框のアレンジについて
上がり框は家を建てる際にあまり意識しない人がいるかもしれません。
しかし、毎日目にする部分であり、来客があったときにはまず目に触れる部分です。
上がり框のアレンジとしては、たとえば、床と框の素材を変える方法があります。
床材とまったく異なる素材を用いると上がり框の存在感が上がりますね。
また、色を変えることによって、メリハリをつけることができます。
玄関にちょっとしたアクセントを加えたいときには、上がり框にこだわるとよいでしょう。
上がり框の形にもこだわってみるとよいです。
たとえば、曲線を取り入れると柔らかい雰囲気を整えることができます。
上がり框を斜めに配置しておしゃれさを演出することも可能です。
上がり框の部分を跳ね出した構造にする、上がり框の下に空洞を設けてオープンにするといったアレンジもあります。
上がり框の下に間接照明をつけるといった工夫も可能です。
靴を収納するスペースを上がり框の下に設けることもできます。
このようにさまざまなアレンジ方法があるため、家づくりのときにこだわってみるとよいです。
上がり框をなくすことができるのか
上がり框がなくなるとバリアフリーの観点から見るととても出入りが楽になります。
外から車椅子のまま居室まで向かうこともできるのです。
段差がないため、玄関で転ぶこともなくなるでしょう。
ただし、上がり框がないことの弊害もあるため注意しましょう。
たとえば、玄関からの隙間風が上がり框で遮られずに室内まで入り込む可能性があります。
上がり框がないと地面の上を流れている寒い空気が室内まで容易に入ってくるのです。
また、風によって砂や埃などが室内に入りやすいという問題もあります。
虫が入り込んできやすくなるという問題もあります。害虫の侵入経路になってしまうことがあるのです。
このように上がり框がないことによる問題もあるため、多くの家では上がり框を採用しています。
もし、家を建ててから上がり框に不満を感じたのであれば、リフォームをすることも可能です。
後付でスロープを設置することもできます。
上がり框の部材のみを交換するということもできます。
まとめ
上がり框についてまとめました。
上がり框とは、土間と床の間にある横木のことであり、見栄えを良くする、座る、埃や砂などの侵入を防ぐといった役割があります。
現代の住まいにおいても多くの家に見られる場所であり、家づくりにおいて無視できない要素です。