夫婦で揉めるケースも少なくありません。子どもの頃から窓のあるお風呂で育ってきた人にとっては、「必要だ!」と思うことでしょう。窓の付いていない集合住宅で育った人は不要だと感じます。
お風呂の窓の設置で悩まれている人は、メリットとデメリットを整理しましょう。メリットとデメリットの度合いは、建てる場所や住む人によって異なります。メリットとデメリットを整理することで、気づきを得ることが大切です。
そこで今回は「お風呂に窓は必要か|メリット・デメリットを整理したら気がついたこと」について解説をします。悩まれている人は参考にしてください。
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お風呂に窓があるメリット
まずはお風呂に窓があるメリットから解説をします。
お風呂に陽が差し込む
住まいの窓は、部屋の中に採光を取り込むメリットを持っています。お風呂の窓であっても役割は変わりません。お風呂場に陽の光が差し込むことで、暖かい浴室になります。昼間は照明なしでの利用が可能です。
採光がもたらすメリットは明るさだけではありません。陽が差し込むことで、浴室が暖かくなります。お風呂場に暖かさが足りないとヒートショックが発症するかもしれません。ヒートショックを防ぐために浴室暖房を利用すれば、毎日の電気代が気になることでしょう。
お風呂場に設置した窓は、部屋と同様に明るさと暖かさをもたらしてくれます。天然の光は、機械的なものとは違うありがたさがあるから不思議です。お風呂に陽が差し込むことで、気分が上がるメリットが得られます。
開放感と見晴らしが露天風呂気分を演出する
窓のないお風呂は外を感じることができません。壁に囲まれていないお風呂には、窓から得られる開放感と見晴らしがあります。大きな窓を設置すれば、まるで露天風呂で入浴しているような気分です。
「休日は朝風呂でゆっくりしたい」と考えている人はいませんか。昼間に利用すれば、窓を開けることで太陽の光を浴びながら気持ちの良い風を浴室に入れられます。仕事で疲れた体が癒されることでしょう。
壁に囲まれた密閉空間で癒しを得るのは難しいです。窓のあるお風呂に慣れている人は、息苦しくなり長時間の入浴に支障がでます。お風呂に楽しみが得られず、入浴をサッと切り上げる毎日に、物足りなさを感じるかもしれません。
窓から得られる開放感と見晴らしが、毎日のお風呂を楽しくします。壁に囲まれたお風呂に魅力を感じない人もいるようです。銭湯のような広いお風呂なら気になりませんが、自宅のお風呂の広さではむなしくなります。お風呂の窓に慣れている人にとっては死活問題です。
換気効率が上がる
お風呂に窓を設置すれば、換気の効率が上がります。お風呂の使用後に窓を開けておけば、換気を利用しなくても浴室内が清潔です。お風呂の換気効率が上がることで、次のメリットが得られます。
ココがメリット
- 浴室のカビを抑えられる
- 浴室内がジメジメしないので清潔感がある
- 嫌なニオイの発生を抑えられる
壁に囲まれた浴室を清潔に保ちたい場合は、お風呂を最後に使用した人が全体を乾拭きします。浴室は遅い時間に利用するのがほとんどで、夜遅くに乾拭き
をしなければいけません。とても面倒な作業です。
窓があれば、利用後から寝るまでの間に開けておくだけで浴室が乾きます。換気効率が上がるのは、お風呂に窓を設置するメリットです。
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お風呂に窓があるデメリット
次に、お風呂に窓があるデメリットを確認しておきましょう。
防犯とプライバシーが不安
開放感が得られるメリットは、逆を言うと防犯面が劣るとも言えます。外部からのプライバシーも不安です。お風呂に窓を設置すると、防犯とプライバシーに対策を講じなければいけません。防犯とプライバシーに関する主なデメリットは次のとおりです。
デメリット
- のぞきの不安
- 入浴中の会話や歌声が聞かれる
- お風呂の窓が侵入経路になる
一番はのぞきの不安です。窓が付いているお風呂は、使用中が一目でわかります。窓から光がもれていれば入浴中の可能性がかなり高いです。現場を何度も訪れることで、主人の帰宅時間も簡単に把握できます。主人が不在の時間にのぞきを考える人が出てくるかもしれません。
また、会話や歌声が漏れる不安もあります。ご近所から「あそこの夫婦は一緒に入浴している」と噂されたら恥ずかしいです。夫婦の会話が外に漏れているかもしれません。入浴中の子どもとの会話も漏れています。プライバシーがありません。
お風呂の窓は侵入経路としても利用されます。お風呂を利用する時間帯の確認は、数日程度で確認でき、見計らって侵入することが可能です。脱衣所があるので、リビングに家族が集まっていれば音にも気が付きません。寝静まったころ作業をし、玄関からどうどうと逃げます。
開放感は、防犯とプライバシーを低下させるデメリットもあるので注意をしましょう。大きな窓を希望している人は対策が必要です。
窓の周りが汚れやすく掃除が大変
浴室はカビが防止できるとメリットで説明をしましたが、窓の周りは別です。お風呂と外の温度差があることから、結露が簡単に発生します。発生した結露を放置すると、窓の周りにカビが発生するかもしれません。窓の掃除が面倒です。
ココに注意
- 壁だけの掃除ならば洗剤が1種類で済む
- 窓だけでなくサッシやレールの掃除が必要
- 窓にはいろいろな汚れが付く
窓の掃除は意外と面倒です。窓には「泥」「ホコリ」「髪の毛」「土ぼこり」などが付着します。サッシやレールに付着した汚れを落とさなければいけません。壁と違い平らでないことから、ブラシなどが必要です。
汚れによって洗剤も変えます。窓も磨かないといけません。毎日の掃除は不要ですが、最低でも週に1度程度の掃除が必要です。掃除をしないとすぐに汚れが目立ちます。汚れが目立つと、メリットも半減することでしょう。
お風呂に窓のある家に住んだことがある人ならば、掃除をしたときに雑巾に付く泥のようなニオイを経験したことがあるはずです。大掃除のときだけ掃除をすると、なかなか落ちない汚れに苦労をすることでしょう。汚れやすい場所なので、定期的な掃除が必要です。
寒い
1日中曇っていた冬場のお風呂はとても寒いです。どんなに性能の高い窓でも、壁が持つ断熱性にはかないません。一気に気温が下がることで、お風呂場が寒くなります。温度差がさらに上がることから、結露が発生しやすいです。
利用後に窓を開けて浴室の湿気を取り除きます。しかし、窓を閉め忘れて就寝したらどうなるでしょうか。蛇口が凍結するかもしれません。浴室の冷気が、脱衣所や洗面所にも伝わり、朝起きたときの寒さに驚くことでしょう。
窓を設置することで断熱性能は確実に下がります。断熱性能が下がることで生じる寒さはデメリットです。
窓の設置で費用が上がる
お風呂に窓を設置すると建築費用が上がります。壁に囲まれたお風呂は建築も簡単です。窓を設置することで、素材や作業量分の費用がかかります。また、今まで説明してきたデメリットを回避するための費用も必要です。
デメリットを回避
- 防犯性やプライバシーを上げるため防犯ガラスや面格子が必要になる
- 中庭の横にお風呂を設置することでのぞかれる不安を防ぐ
デメリットを回避するための費用が高額です。断熱性を上げるために質の高いガラスや素材を用意します。価格はグンと上がることでしょう。
お風呂に大きな窓を求めているのならば、中庭の設置が必要です。中庭がプライバシーを保ちながら開放的なお風呂を実現します。しかし中庭の設置には広い土地が必要です。おのずと金額は高くなります。
メリットを最大限に生かすためには多くの費用が必要です。費用が高くなるのは、お風呂に窓を設置するデメリットと言えます。
メリットとデメリットの整理で気が付いたこと
お風呂に窓は必要かを判断するため、メリットとデメリットを整理しました。メリットとデメリットから気が付いた内容を確認しましょう。
メリットが完全に活かされるのかが大切
メリットを見ると、家を建てる場所によって度合いが違うことに気がつきました。開放感や採光は、次の場所ではあまり期待ができません。
ココに注意
- 住宅街
- 狭小地で隣が非常に近い
- お風呂の窓からマンションのベランダが見える
住宅街や隣が近い場所に建てる場合、開放感よりもデメリットが上回ります。窓側に高い建物があると採光は期待できません。窓がない方が、メリットが向上するようにも感じます。
また、お風呂の窓からマンションのベランダが見えるのは問題です。相手のベランダからお風呂が見えることになります。景観とプライバシーが損なわれるぐらいなら、窓を諦めるべきです。
見えない場所にお風呂の設置を考えると、間取りの自由度が低くなります。メリットを求めることで違うデメリットが生じるかもしれません。お風呂の窓のメリットは、建てる場所に大きな影響を受けます。
開放感は必要?
メリットでデメリットの整理で気がついたのは開放感の必要性です。お風呂に開放感が必要でしょうか。
ココに注意
- 毎日同じ景色だと飽きる
- 排気ガスのニオイがして自然の開放感が得られない
- 夜に窓を開けてお風呂に入ると虫が飛んでくる
お風呂の開放感は、たまに行く温泉で味わうからこそ癒されます。毎日味わうことに意味を感じない人もいることでしょう。同じ景観に飽きるのも予想できます。また、排気ガスのニオイなどで、気分を害されるかもしれません。
虫の問題も気になります。暖かく光があることから、お風呂に虫が寄ってきます。お風呂場に虫が入ってきたら気になりませんか?露天風呂は外なので気になりません。室内に入ってきた虫は処理が必要です。気になって窓が開けられなくなる可能性もあります。
普段から利用するお風呂に、窓の開放感は必要でしょうか。家族で行く温泉旅行に楽しみをとっておくのも良い選択です。
窓から得られる換気は代用が利く
メリットで上げた換気効率は計画換気や浴室乾燥機で代用が利きます。寒さや掃除を考えると、代用で済ます方がメリットも向上するかもしれません。最近は性能の良い浴室乾燥機も増えています。窓を利用して換気効率を上昇させるよりもカビが抑えられる方法です。
間取りの自由度が上がる
お風呂に窓を設置しなければ、間取りの自由度が上がります。お風呂に窓を設置するためには、外と隣接した場所を提案しなければいけません。窓がないお風呂でよければ、間取りの中央に設置をして、回遊性を持たせる提案もできます。
浴室や脱衣所は外に隣接しているべきといった固定概念を持つ人もいるようです。固定概念を持つ人に、間取りの中央に設置するお風呂は受け入れられないかもしれません。ただ必ず外に隣接させる必要があるのでしょうか。
窓を設置する以外に外に隣接させる意味はありません。逆にキッチンやお風呂など、水回りを一カ所に集めることで工事費用が安くなります。窓を外すだけで、外に隣接させることもできれば、中央に設置することもできるのです。確実に自由度は上がります。
お風呂の開放感よりも家事動線の方が重要と考えている人は、先ほど紹介したメリットでは物足りないです。
脱衣所に窓を求める人が多い
お風呂に窓を設置するメリットとデメリットを整理したら、脱衣所に窓を求める方が良いのでは?という点に気がつきました。お風呂の換気は脱衣所の窓で行います。換気のメリットを保ちながらプライバシーを守る提案です。
あるのが当然といった考え方は危険
実は、現在も圧倒的に窓を付ける人の方が多いです。立地条件と照らし合わせても、デメリットの方が高いのに窓を希望する人がいます。あるのが当然という考え方が、立地条件により開けることのできない窓を設置させます。
子どもの頃から戸建てに住み、窓のあるお風呂に慣れている人は設置するのが当然です。しかし一緒に暮らす人は集合住宅で生活をしてきました。窓のないお風呂に慣れています。子どもの頃から慣れているので、窓の設置に違和感しかありません。
お風呂の窓で揉める理由は固定概念です。「あるべきもの」という考え方が、設置をする人を増やします。メリットとデメリットを整理することで、建てる場所の立地条件に合っているかどうかを検討することが大切です。
まとめ
「お風呂に窓は必要か|メリット・デメリットを整理したら気がついたこと」について解説をしました。内容をまとめます。
- デメリットの数の方が多い
- メリットの魅力は建てる場所によって異なる
- メリットを高めたお風呂の窓は費用が高額になる
お風呂に窓を設置する人の方が圧倒的に多いです。もしかすると、ハウスメーカーの提案をそのまま受け入れているのかもしれません。もし悩んでいるのならば、窓のないお風呂を相談してみましょう。
設置する人が多いのも関係してきますが、設置に後悔をする声は多く見られます。窓のないお風呂は、慣れてしまえば気になりません。設置したお風呂は掃除が手間というデメリットが残ります。設置には十分な検討が必要です。