ウォークインクローゼットは人が中に入って物を出し入れできる大きな収納スペースです。「注文住宅を建てるのならば絶対に採用したい!」と思う人が多くいます。しかし「設置したいけど何畳が適正かな?」と悩む人も少なくありません。
ウォークインクローゼットに関する口コミを見ると、「広すぎて失敗した」や、逆に「狭すぎた」などの声が見られます。ウォークインクローゼットは便利な収納であるのは間違いありませんが、広さを間違えて後悔する人もいる間取りです。広さだけでなく設置場所に後悔する人も少なくありません。
ウォークインクローゼットを採用するのならば広さはもちろんのこと、種類や設置場所を十分に検討しましょう。
そこで今回は「ウォークインクローゼットの広さは?目安は何畳?間取りでわかる適正値」を解説します。ウォークインクローゼットの種類や設置する際の注意点と合わせて解説するので、参考にしてください。
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ウォークインクローゼットの目安は何畳?
ウォークインクローゼットの目安は3畳です。一般的には2畳~4畳程度が適正値と言われています。それぞれの広さで、どのくらいの収納力があるかを確認しておきましょう。
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広さ2畳の収納量
一般的な2畳分の広さは3.24㎡です。正方形の場合だと1.80m×1.80mの広さが必要になります。カプセルホテルの一室程度の広さで、布団を敷いても周囲に余裕が少しある程度のイメージです。夫婦2人分程度の収入力が期待できます。150着の服ならば余裕で収納が可能です。
ハンガーパイプを左右に設置すれば、夫婦で服を分けてかけられます。ただ次の点に注意が必要です。
ココに注意
- 中での着替えは難しい
- バッグや靴の収納を求めるとスペースがだいぶ狭くなる
- 布団など大きなものの収納は難しい
2畳を夫婦2人で活用すると若干狭いですが、1人で利用をするなら十分です。そのため、寝室に2畳のウインクローゼットを2つ設置する間取りもあります。「夫の衣類はたばこのニオイがきつい」など、一緒に収納したくないなどの不満がある夫婦に人気です。
2畳のウインクローゼットを1人で利用できるのならば、中で着替えもできます。「毎日出入りする場所だから広い方が良い」と考えている人には、2人で2畳1つは物足りないかもしれません。
広さ3畳の収納量
一般的な3畳分の広さは4.86㎡です。1.80m×2.70mや、0.9m×5.40mの広さが必要になります。ベッドと小さなテーブルを設置しても、まだ動けるスペースが残る程度の広さです。夫婦2人で利用するのならば他に収納を設ける必要はありません。
250着程度の服ならば収納が可能です。姿見鏡を置いて、中で着替えを行うスペースも確保できます。子どもが小さければ、ウインクローゼットの中で着替えを手伝うことができるぐらいの広さです。
ただし、ある程度成長した子どもたちと共有するには狭いので注意をしましょう。靴やバッグなど、収納するものが多い場合は、2人での利用が限界です。
広さ4畳の収納量
一般的な4畳分の広さは6.48㎡です。四畳半あれば居室として利用ができます。居室に近い大きさを収納として活用するのですから十分な広さです。400着以上の服が収納でき、4人家族ならば全員での利用もできます。次のような利用方法もおすすめです。
おすすめ
- 布団の収納
- ひな人形や5月人形の収納
- 靴やバッグをディスプレイ風に収納して楽しむ
4畳以上のウインクローゼットは広いです。広すぎるとまで言えるかもしれません。広い収納が原因で、不用品をため込む癖が付く人もいます。4畳以上のウインクローゼットを1人で使う場合は、整理整頓を心がけるようにしましょう。
不用品の処分はこちらがおすすめです。
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ウォークインクローゼットの種類
ウォークインクローゼットの種類はさまざまです。
- タイプ
- レイアウト
- 扉
上記3つを組み合わせながら間取りに組み込みます。ウォークインクローゼットを採用するときは、種類を知っておくと便利です。
ウォークインクローゼットのタイプ
ウォークインクローゼットのタイプは、次の3種類から選ぶのが一般的です。
- ハンガータイプ
- 収納棚タイプ
- シンプルタイプ
ハンガータイプは、パイプを中心に作られたウォークインクローゼットです。「ワイシャツはたたむのではなく吊り下げたい」と考えている人には、広いハンガーパイプを設置したウォークインクローゼットをおすすめします。上下に2本のハンガーパイプを設置すれば、収納力が倍増です。
収納棚タイプは、ウォークインクローゼットの中に収納棚を設置して収納力をアップさせます。仕事でスーツを利用しない人はハンガーパイプを少なくし、収納棚を広く設置しましょう。趣味で靴を集めている人におすすめです。
シンプルタイプは、あえてハンガーパイプや収納棚を設置しません。市販のハンガーラックや収納棚を購入してウォークインクローゼットの中を完成させます。DIYで棚を設置するなど、自分好みのウインクローゼットにするのが目的です。ウォークインクローゼットの使い方は、将来変わるかもしれません。ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるタイプです。
上記を組み合わせることで、自分好みのウォークインクローゼットを提案しましょう。
ウォークインクローゼットのレイアウト
ウォークインクローゼットのレイアウトは、次の4種類から選ぶのが一般的です。
- I型
- Ⅱ型
- L型
- コの字型
I型は、ハンガーパイプや棚の位置を一列にまとめたタイプです。服が比較的少ない人ならば、見やすくコンパクトにウォークインクローゼットを設置できます。布団など、大きな物の収納には向いていません。
Ⅱ型は、左右に収納を設置するレイアウトです。両側にハンガーパイプを設置すれば、収納力がI型よりも高まります。収納は服だけではないと言う人は、片側は収納棚を設置するといった工夫が可能です。片側をシンプルタイプにして、後から工夫する人もいます。
L型は、I型の奥にも収納力を求めるレイアウトです。奥にハンガーパイプや収納棚を設けることで限られたスペースを効率的に利用します。4畳以上ならば奥に大きめの棚を設置することで、布団を収納するなどといった工夫も可能です。
コの字型は、Ⅱ型の奥に収入力を求めます。出入口以外の壁すべてに収納力を求めることから、2畳程度しか確保できない間取りには向きません。コの字型を採用する場合の目安は、3畳以上が必要です。ウォークインクローゼットに高い収納力を求めている人におすすめします。
ウォークインクローゼットの扉
ウォークインクローゼットの扉は、次の4種類から選ぶのが一般的です。
- 片開きドア
- 引き戸
- 折れ戸
- 扉なし
片開きドアは、いずれかの方向に1枚の扉を移動させることで開閉できる扉です。居室や玄関の出入口に採用されています。ウォークインクローゼットの中が広がるタイプの扉ですが、稼働範囲に物が置けないなどのデメリットもある扉です。
引き戸は、レールや溝の上に扉を設置して開閉します。和室の障子に利用されることが多い扉です。周囲に物があっても開閉できますが、引き込みをする壁面にハンガーパイプが設置できません。
折れ戸は、扉を折りたたむことで開閉します。クローゼットや浴室の扉に利用されることが多く、見た目もオシャレです。裏側に姿見を貼り付けるなどの工夫もできます。ただし、開閉時は出入口が狭くなるといったデメリットもあるので注意が必要です。
そもそも扉を設置しない方法も選択できます。垂れ壁に丸みを与えるなど、かわいい出入り口にしてウォークインクローゼットをインテリアの一つにする方法もおすすめです。ただ中を隠すことができません。遮るものがないので冷暖房効率も下がります。
ウォークインクローゼットの設置場所
ウォークインクローゼットは設置場所によって利便性が異なります。動線やライフスタイルに合わせて設置場所も検討しましょう。
寝室
ウォークインクローゼットの設置場所として人気なのが夫婦の寝室です。朝起きてすぐに着替えられます。ウォークインクローゼットの中ならば、夫が寝ていても照明をつけることに抵抗がありません。着替えてから寝室を出ることで、気持ちの切り替えができます。
狭いウォークインクローゼットのため着替えができない場合も、寝室ならば着替えに支障はでません。夫婦の寝室にウォークインクローゼットがあると便利です。
玄関付近の廊下
玄関付近のウォークインクローゼットも人気です。家族全員の上着や靴、バッグなどを収納します。外出する際に必ず通る場所ならば便利です。
ココがポイント
- 2階の寝室に上着を取りに行く手間が省ける
- 帰宅したらすぐにコートをしまえる
- 「雨が降ってきた」「思った以上に寒い」と言った状況時でもすぐ対応ができる
夫婦で昼夜が逆な場合にも便利です。寝室でゴタゴタされると睡眠の妨げになります。寝室には普通のクローゼットを設置して、大きなウォークインクローゼットは家族で共有する方法です。
洗面所の横
洗面所の横にあるウォークインクローゼットも人気です。ランドリー付近に設置をすれば家事動線にも役立ちます。メイクが完了したら、寝室に戻ることなく着替えもできる間取りです。
ウォークインクローゼットの注意点
最後に、ウォークインクローゼットを間取りに組み込む際の注意点を紹介します。
枕棚の設置をする場合は十分に検討する
枕棚は天井に近い場所へ設置する棚のことです。棚があると便利に思えますが、必ずしも付ける必要はありません。枕棚がかえって邪魔になることもあります。本当に必要かをしっかりと検討しましょう。
枕棚に失敗した人の声で一番多かったのが「背が届かない」です。「便利そう」といったイメージだけで設置をすると後悔します。実際に使用を開始してみたら、ハンガーパイプが足りず「枕棚ではなくハンガーパイプを2段にする方が便利だった」という声も少なくありません。
「棚=便利」と決まっている訳ではないので注意をしましょう。枕棚が無駄なスペースになることもあります。
生活をイメージしてから設置する
ウォークインクローゼットを間取りに組み込むときは、生活をイメージしましょう。採用する人が多いからウォークインクローゼットを設置するのではなく、どうして必要なのかを考えます。
設置する理由
- 夫婦でも着替えを見られたくない
- 起床時間が違うのでウォークインクローゼットで着替えたい
- 家事を少しでも楽にしたい
住む人によって生活スタイルは違います。夫婦の距離感に正解はありません。ある一定の距離感がほしい人は、同じ寝室でもウォークインクローゼットの活用方法次第で距離感を保てます。
例えば、夫の衣類がタバコ臭いといった不満を持っている人はいませんか。妻の香水の匂いが気になるといった不満を持つ夫もいます。何かしらの不満がある場合は、2畳のウォークインクローゼットを2つ設置する方が便利です。
今抱えている不満を元に検討をしてみましょう。不満が解消できる生活をイメージしてから間取りに組み込むと後悔をだいぶ防げます。
使用用途を考える
使用用途を考えてからウォークインクローゼットを設置するのがおすすめです。「収納が充実していれば便利」という考えだけで設置をすると無駄な収納をつくります。無駄な収納がなければリビングをもっと広くできるかもしれません。
使用用途
- 化粧や着替えをすべてウォークインクローゼットの中でしたい
- 鞄や靴をディスプレイ風に収納して選ぶ時も楽しみたい
- 仕事やプライベート空間として活用したい
上記のような使用用途があればウォークインクローゼットは無駄になりません。ただ何の考えもなく「念のため」で設置するウォークインクローゼットは後悔をします。ウォークインクローゼットに振り分けた分だけ他が狭くなることを忘れてはいけません。
将来も考える
使用用途を考えても将来性に配慮がなければ失敗をします。例えば寝室に広さ4畳のウォークインクローゼットを設置しました。使用用途は4人家族全員で利用するウォークインクローゼットです。しかし子どもが成長すると次のデメリットが生じます。
デメリット
- タバコや香水の臭いが子どもの服に付く
- 娘が父親と同じ収納を嫌がる
- 収納力が足りなくなる
子どもにとって臭いは重要な問題です。学校で「香水を付けているの?」と友達に言われたことをきっかけに同じ収納を嫌がるかもしれません。娘が父親と同じ収納を嫌がるケースもよくあります。
ファミリークローゼットは便利ですが、子どもが嫌がるなどの口コミも少なくありません。収納力が足りなくなることもあります。将来性を考えてから設置をしましょう。
ウォークインクローゼットの広さは2~4畳を目安に使用用途をイメージしよう
「ウォークインクローゼットの広さは?目安は何畳?間取りでわかる適正値」について解説をしました。ウォークインクローゼットは3畳が目安です。使用用途に合わせて2~4畳の間で設置するのをおすすめします。
ウォークインクローゼットの種類によって適正値も変わるので注意をしましょう。必要なのはウォークインクローゼットに何を収納するかです。使用用途と将来性を踏まえて設置をすれば、長きにわたって便利なウォークインクローゼットが設置できます。
「とりあえず設置」という考え方は、おすすめできません。